ピアノという楽器には大きな落とし穴があります。
ヴァイオリンなどの弦楽器や、クラリネットなどの木管楽器、トランペットなどの金管楽器のように、楽器から楽音としての正確な音程を持った音(ドならドに聴こえるような音。これと正反対なのがドラえもんに出てくるジャイアンの歌。)を出すことができるようになるまでに時間がかかる楽器と違い、ピアノは鍵盤が下がりさえすれば、簡単に楽音としての正確な音程を持った音が鳴る楽器です。猫が鍵盤の上を歩いても、上から少々重さのあるものを落としただけでも、ドの場所なら正確な音程を持ったドの音が鳴ります。
ですから、ピアノという楽器は、たとえピアノを習ったことがない人であっても、誰にでもすぐに楽音としての正確な音を出すことができる楽器であり、それゆえにすぐに音楽を楽しむことができる楽器ということになります。この点が、音楽を楽しむことができる段階に至るまでに時間がかかる他の楽器に比べて、ピアノが広く普及した理由の一つではないかと思います。
このように、ピアノには他の楽器にはない利点があるのですが、これこそが、ピアノという楽器の大きな落とし穴でもあるのです。
弦楽器や管楽器は、最初に音の出し方をしっかり身に着けないと、音楽を楽しむことができる段階での演奏をすることができないために、習い始めた段階で、音の出し方に関しては十分な訓練が行われます。さらに、あらかじめ楽音としての正確な音程を持った音が用意されているピアノと異なり、これらの楽器では楽音としての正確な音程を持った音を、演奏者が自分自身で作り上げないことには、ジャイアンの歌になりかねない可能性があるために、演奏者は常に自分が出している音に対して注意を払い続ける必要があります。
それに対して、ピアノにはあらかじめ楽音としての正確な音程を持った音が用意されているため、音の出し方に対する十分な訓練が行われなくても、演奏をすることが可能な上、弾く鍵盤さえ間違えなければジャイアンの歌になる可能性はありません。ピアノもまた音楽のための手段である以上、他の楽器と同じように、自分が出している音に対して十分な注意が払われる必要がありますが、ピアノの場合は、自分が出している音が楽譜に記された音高(ドならド、レならレ)通りの音かどうかという点での注意のみ、つまりピアノを弾くというよりは、いかに鍵盤を正確に弾くかということに対する注意ばかりになってしまい、肝心の音楽に対する注意がおろそかになってしまいがちです。
ピアノにはこのような落とし穴があるわけですが、これに気がつかないで曲ばかりがどんどん進んでしまうと、途中で行き詰ってしまうことになりかねません。これは講師である私自身の話で、実際に何度も行き詰まりました。何度も行き詰ったからこそ、基本的な技術の大切さが身にしみてわかります。
ピアノのやっかいなところは、ある程度器用な人間であれば、基本的な技術がしっかりと身についていなかったとしても、教則本や練習曲の類、中級程度までの曲を間違えずに弾くことは、そう難しいことではないという点にあります。一所懸命練習をしたにもかかわらず、自分が弾きたいと思う曲が思うように弾けないということほど、悲しいことはありません。このような思いをするのは私一人で十分ではないかと思います。
私と同じような思いをしないためにも、基本的技術をしっかりと身につけ、ご自身が弾きたい曲を、自信を持って思い通りに弾いていただきたいと思います。当教習所のレッスンでは、例外なく基本的技術に関して相当の時間を割き、一人一人の技術的問題に対し、細部にわたってアプローチをいたします。
ゆるぎない基礎こそが、自信を持ってピアノを弾いていただくための第1歩です。
当教習所には、子供のころ何年かピアノを習っていて、中学生か高校生くらいで一旦中断し、社会人になって再開された方が多数いらっしゃっています。そのほとんどの方が、ご自身のピアノ演奏技術を基礎から見直していらっしゃいます。当教習所が最も得意としているレッスンです。
基本的技術の見直しのみならず、最終的にはレッスンを受けなくても、生徒さんご自身で弾きたい曲を自由に弾ける状態になっていただくため、バロック・古典・ロマン派・近現代の幅広い作品に触れていただくほか、楽典や音楽史など、音楽的知識と実際の演奏をどのように結び付けていくかといった内容まで言及します。
また、音大受験等で基礎を見直す必要があるという方向けに、基礎に的を絞ったレッスンも行なっておりますので、どうぞご相談ください。
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